医療を言葉からイキイキさせる。意見を言い合える関係が、病院を活性化させるんだ。

  • 中津川市民病院 循環器内科:林 和徳医師
  • 平成4年 三重大学卒
  • 内科学会認定医・専門医・指導医/循環器学会専門医/産業医

「患者さんも若い医師も、言いたいことを言える環境をつくって行く。」東濃地区の中核病院である中津川市民病院。ここで開業医と連携して、地域に根ざした医療を確立させたいと願う、循環器内科の林医師にお話を伺いました。

ネクタイに、出会いへの感謝をこめて。

最近、社会問題として病院スタッフの接遇の悪さが取り上げられています。訴訟が行われることもあるんです。私は、そうした訴訟の半分以上は言い方の問題だと思っています。だから、私たちの病院ではスタッフ間で言葉づかいを注意し合っているんですよ。「さっきの、あれはいかんでしょ~」って言いながら。医師も看護師も対等に、思ったことを言い合っています。言葉づかいなど、接遇を大切にしたいのは、マナーだけではなくて患者さんの命との出会いを大切にしたいからです。私はかつて、指導医の先生に「外来の時は、必ずネクタイをしなさい。」と教えられました。今もそれを守り通しています。もし目の前にいる患者さんの容体が急変して、いま会うのが最後になったら、もう二度と話すことも触れ合うこともできないからです。ひとの生死に寄り添って生きる者として、きちんとした言葉と態度で接することは当然のことだと思っています。

地域の開業医への返事は、その日のうちに書く。

この東濃地域には、大病院は少なくても開業医の先生はたくさんいらっしゃいます。ここに搬送されてくる一次救急の患者さんを診るのも平日夜10時までは開業医の先生方に協力していただいているんです。地域では開業医がとても大切なんですよ。開業医の先生から紹介を受けて、うちの病院で治療して速やかに返すという流れでこの地域の医療は成り立っているんです。だから、院内だけでなくて開業医の先生方とも連携できるように努力しています。例えば開業医の先生は、紹介状を送ったら結果を早く知りたいと思います。あの患者さんどうなったんだろう?って、気になりますよね。だから私はその日のうちに必ずお返事を書くようにしています。そうじゃないと、信頼関係でいられないと思うんです。

初々しい若手医師から、エネルギーをもらえる。

若い先生たちには適宜キチッと指導をしたいと思っている私ですが、あまり圧迫しすぎると嫌になりますよね。だから私は、できるだけ学会に連れて行って、のびのびと学べる場を提供してあげたいと思っています。学会に行って発表することで、話す力が身につきますし、視野も広がります。医療の全体像がつかめないまま、自分の専門分野を早く絞るのは寂しいこと。医師になったんだから大きな夢を持って一生懸命学んでほしいと思います。先日、院内の図書館に行った時、1年目の研修が終わったばかりの子が黙々と勉強していました。後輩ができるので、指導できるようにと勉強していたんです。そういう姿を見ると、こちらもすごく励みになりますね。若い先生たちとは一緒に食事に行ったり、たまに酒を飲んだりすることもあります。いいところは褒めてやってますよ(笑)。

よく学び、よく語り合う。そうしないと、患者さんに絶対失礼だ。

医療現場では日々新しい技術が登場しますから、その度に学ぶことが大切です。それと、院内外でいい関係を築くことは、地域医療にとって本当に必要なことです。患者さんの情報が共有できていないところに、最良の医療はありえません。この病院でも「待機制」といって、自分の科で診られない分野がある場合は他科の先生と連絡をとって診られる体制を敷いています。いい医療は、一人ではできない。だから若いエネルギッシュな先生が一人でも多く来てくれることを望んでいます。

知識も技術も人材に新しく!そのために、フットワークを軽く!

30分後に、救急で心筋梗塞の患者さんが搬送されてくる。
そんな緊迫した状況の中、林医師はこの地域で行われている医療の特色や未来について一気にお話してくださいました。
「新しいことをしようと言うからには、自分もどんどん動く。」
ネクタイを締められていましたが、そこにユニフォームを着ているようなフットワークの軽さを感じました。