本当に求められる医師に、なろうじゃないか。

  • 伊賀市立上野総合市民病院 外科(消化器外科、肛門、乳腺外科):福浦竜樹医師
  • 平成2年 三重大学卒
  • 日本消化器外科学会認定医・専門医・指導医/日本外科学会認定医・専門医・指導医/日本大腸肛門病学会専門医

伊賀地域住民の健康を支える伊賀市立上野総合市民病院。この病院でも近年、「医師不足」が問題となっています。
さらに、夜間や休日の軽症患者の救急利用の増加により、必要な医療体制の確保が非常に難しい状況に。
この状況を乗り越え、伊賀の地域医療に光を灯そうと日夜努力する、消化器外科医の福浦竜樹医師にお話を伺いました。

「オレは絶対健康なんだ」と言うお年寄りに、真正面から向き合う医療を考える。

今私たちの熱いテーマとなっているのが、進行しているがんに対する緩和ケアを取り入れた新しい外科学です。驚かれるかもしれませんが、地域のお年寄りには健診が浸透していないのが現状です。こちらがいくらねばって情報提供して説得しようにも「オレはもう70年健康で農業やってきたから、絶対大丈夫。」と、つっぱねられてしまう。そういう状況の中で、医師として私に何ができるか。試行錯誤していたとき、緩和ケアに出会ったのです。初めて行ったのは、末期がんの患者さんに対してでした。
緩和ケアに特化した病院になれば、それが町おこしのように活性材料になって地域の医療に貢献できる。そう信じています。しかし実際、緩和ケアには救急の医療が外せませんが、そのときに必要な人材である内科医がこの病院には十分に確保されているとは言えません。ここが、とても悩ましいところです。

患者さんと付き合いの深い開業医と連携して、なんとかしたい。

それでも、地域ならではの良さもあります。都市の病院からここへ移ってきて思うのは、開業医とその患者さんとの付き合いが深いということ。地域の開業医は積極的に往診していて、患者さんやそのご家族と地域ぐるみの付き合いをしていることが圧倒的に多いと感じています。本当にそれは、素晴らしいことだと思います。この関係を、地域を挙げて行う緩和ケアにも利用しない手はない。あとは、忍耐力が大切!例えば、学術的なことで検査を追加したいときにも、しっかりと丁寧に理由を伝えれば、理解してくれるお年寄りは多いです。昔、先輩医師から言われたのが、とにかく一人の患者さんを大事にしろ、ということ。患者さんの病状を改善することを一番に考えてあらゆる手を尽くすことが、何よりも大切です。

初めて行ってもどこか懐かしい商店街。

忍者の里・伊賀は歴史ある街並みが魅力。

人気遊園地のノウハウって、医療にも通じると思う。

以前、有名なテーマパークの人気が続く理由について書かれた本を読みました。内容のほとんどを占めていたのは、「接遇マナー」に関すること。これは、病院でも同じことが言えるんじゃないかと思いました。緩和ケアに注目して取り組んでいると言いましたが、地域の人たちの特徴をつかんで信頼関係を築かないことには、患者さんは治療方針を説明しても納得してくれません。医療の世界だけではなく、社会に置き換えるとどうなるか、と、広い視野で医療を考えるといいんじゃないでしょうか。

背中で教えられるような医師になりたい。

高齢社会の中で、悪性疾患が増加傾向にあります。その現状を的確にとらえて必要なスキルを身につけ、例えば緩和ケアのような医療を施す。そうすればお年寄りを助けることができ、本当に求められる医師になれると思います。私自身、そうであり続けたいと思います。先日、卒後3、4年目くらいの医師が研修をして巣立っていきました。若いうちに厳しい環境に身を置いて、チャレンジングな医師でした。たくましいと思いました。私たちは後輩を育てていくために、背中で教えていけるほど、仕事に打ち込むべきですね。

まさに、「医療戦士」という情熱。それを支える、伊賀の大らかな自然。

企業戦士という言葉がありますが、地域医療に情熱を注ぐ福浦医師も戦士そのもの。
伊賀の医師として自分自身に何ができるかと問いかけ、行動に移す。
そのアグレッシブさに感動しました。
そんな福浦医師も、にこにこしながらおススメしていたのは伊賀の肉・米・野菜・魚!
忍者の里らしく落ち着いた趣があちこちに残っている伊賀の町。
住んでもいいかな、と思わせるホッとする場所です。